これがベトナム大学院の実態だ!

Trường Đại Học Bách Khoa Thành Phố Hồ Chí Minhの大学院修士課程に社会人入学

ベトナムの大学院は仕事と両立できるか

ベトナムで働きながら大学院に通って2年が過ぎた。
ここで、実際に平日の昼間働きながらの通学は可能ではあるが、実際やってみると大変であることが分かった。
もちろんブラック企業とかで連日日付が変わるまで残業とかの人に比べればまともではあるが、決して楽ではない。
授業自体は平日の夜および土日に行われ(以前は1科目だけ平日の昼間開講というのもあったが、廃止されたようだ)るので物理的には通学は可能だが、具体的に大変なところは何か?
1. 単純に時間が取られること
自由な時間が減る、残業がしにくくなる、急な残業をせざるを得ない場合は授業を欠席せざるを得ない。
また、2019年度(厳密には2018年度からすでに始まっていた?)から18:15開始が18:00開始に早まったので、平日夜の授業に出席がきつくなった。
2. 通学で息切れ
これは精神的な意味もあるが、物理的、肉体的な息切れ。つまり、排気ガスのひどい道路を頻繁に通ることによる疾患である。
土日の明るい時間なら渋滞も少ない(決してすいてはいないが夕方よりはまし)が、それでも同日に2往復は確実に体に来る。
なお、夕方は「渋滞の中を進む」ではなく、「渋滞の中で止まる」になると確実に体をやられる。
3. 宿題(課題、演習などとも訳される)がバッティングした場合
悪名高いあの科目など一部例外を除き、宿題の1つ1つは時間をかければできるレベルだが、複数の科目で提出時期が重なるとつらい。
これは1番の時間がとれらることに通ずるが。

なお、欧米の場合問題となる授業料だが、ベトナムに限って言えば歯医者の治療費よりも安い。
というより歯医者の治療費が高すぎるのか。
普通の人なら金額の心配はいらない。
自分の場合は働きながらだから、生活費は大学院に行こうと行くまいと同じ。
交通費はかかるが、これは日本で、実家から通う場合でも発生するのでやむを得ないだろう。
交通費の計算をしたことはないが、そんなに影響はないと思っている。

また、言葉の壁だが、実は授業の内容自体を理解する分にはあまり問題はない。
資料は大半が英語だし、仮にベトナム語であっても調べればわかる。
というより学問自体は世界共通だから、同じ内容の資料が日本語であったりする。
日本の大学のサイトがひっかかるのだ。
それよりも来週授業が休みだとか、振替授業がいつだとかの事務連絡がベトナム語でされるともうお手上げ。
そこは同じクラスの学生が親切に教えてくれることで事なきを得たが。
ベトナム語で学ぶとは言っても結局内容自体は日本の大学でもやってることだし、そもそも授業は受けても受けなくてもあまり変わらず、自分で資料を読んで理解しなければならないので、資料の言葉を日本語に訳し、それを検索して日本の何とか大学の講義資料が出てくれば問題は解決したようなものだ。

さて、本題となる、ベトナムの大学院は仕事と両立できるかどうかだが、逆に働きながら大学院に通う方が有利ですらある。
というのも、これはベトナムに限定せずどこの国であれ言えることだが、留学の場合大学(含む大学院)が生活のすべてだ。
そこでなじめない、人間関係のトラブルがあるともう終わり。その国自体を嫌いになっちゃう。
ところがどっこい、働きながら大学(含む大学院)に通うというのは、行ってみれば習い事の教室に通っているのと同じ。
まあどうしてもなじめなかったら辞めてもそれで死ぬわけじゃないし、今まで通りの生活に戻るだけ。失うものはない。
留学の場合、なじめなかったら精神的に病むだろう。さらに、辞めたら滞在資格、つまりビザが更新できず、すべてを失って日本に帰らざるを得ない。
また、家賃などの生活費の問題もある。
働きながらであれば、大学にいこうと行くまいと家賃や食費は発生している。だから生活費の心配をしなくていい。純粋に授業料と交通費の心配だけだが、それも先述の通り微々たるものだ。
留学の場合、家賃や食費を捻出する必要がある。授業料の100倍以上の金を持っていないといけない。
ベトナムの大学院は授業料は安いが、ベトナムの家賃は物価を考えると異常に高い。そして狭い。
アメ公が日本の家をウサギ小屋と馬鹿にするが、それではとてもベトナムに住めない。だって虫かごだもん。
日本にずっと住んでいた人がベトナムに住んだら大変なことになる。
かといってまともなところに住もうと思ったら莫大な金がかかる。
いきおい、働いており、ある程度まともなところに住んでいる人でないと、大学院に通うような生活を送るのは厳しい。

そしてこれは自分も疑問なのだが、他国も含めて、学生というのは立場が低いらしい。
本来、留学生はその国に莫大なお金を落としに来てくれる大事なお客様なのだが、扱いはひどい。
逆に社会人で来ているのはお金をもらう立場なのだが、滞在資格とかもきちんと発行されるし、年齢層が高いこともあってあまり邪険な扱いは(学生に比べて)少ないかもしれない。
例えばこの学校においても、普段学生としていくと学長連中が挨拶に来ることはあり得ないが、商工会の集まりとかでたまたまこの学校が指定されたりすると、学生には無視の学長連中が頭を下げたりする。金は全く払ってないけどね。

働きながら通うというスタイルが成り立つのはベトナムの大学院だからだと思う。
日本でもそうだが、多くの国では平日の昼間に授業があるのではないか。
それが授業の90%(2019年現在は100%)が平日の夜および土日というスタイルはむしろ社会人のみを対象をしているようにすら思える。
難点としては先述の18:15開始が18:00開始に早まった点。
定時が17:00の人ならいいが、17:30の人はきつい。18:00の人は絶対に間に合わず、例えば授業の日だけ早引きさせてもらうなどの職場の理解が不可欠だ。
それでも本日中に対応しなきゃいけない急な残業の場合はその日の授業はあきらめなくてはいけない。
まあ、下手に無遅刻無欠席の皆勤賞でも(もっとも、そんなものないから何ももらえないけど)単位が取れないとか本末転倒案件はゴロゴロ。
多少休むぐらいが気分転換というか精神的なバランスが回復できて、結果的に単位に結びつくこともある。